Necessity is the mother of invention

 当ブログを読むだけの人にとってみれば、ここは適切な情報が時折見つかる場所といった印象しかないのかもしれません。前日のエントリーで紹介した書籍は、日本語で書かれたバス・フィッシングの情報としては非常に有益なものです。しかし、いくらか科学的であったとしてもバス・フィッシングの中だけでしか語られていないことから、当著者としては「それだったら英語の書籍で十分」です。あくまで知識としての発展性を持っているかどうかということを求めているのです。

 基本的に日本語で書かれた釣りの本なんて学のないことだらけで読む必要すらないという偏見があります。偏見どころか日本語で出版されている自己啓発だの何だのといった文庫や新書なんて内容が薄くて読む必要などないというのは事実です。無駄な肩書きと専門家を増やすだけの日本の出版業界というメディアも学がありませんし、読者はしっかりと不要だと言えるだけの学を持たなければなりません。そういった視点から、日本人というのは幼稚であると伺えます。そんな稚拙な多数派が占める日本で、釣りに関するアカデミックな、学のある内容を求めようなどという試み自体間違っているのかもしれません。そうため息混じりに言わせるぐらい、現状が危機的であるという警鐘です。
 釣りの本を新書という形式で購入すること自体、当著者としては初めてだったのですが、この書籍は釣りをアカデミックに、学のある調べものとしたい場合に使えます。それは通常、ある領域の学問の専門書を読む前の入門、入り口やキッカケとして読む新書と全く同じクオリティ・質を持っているということです。
 こういった文庫や新書で良い書籍であるということは、どういうことなのでしょうか。それは参考図書・引用リストが付いているということです。内容に関しては非常に参考になるにも関わらず、そういった参考図書リストが一切ついていない書籍も世の中には存在します。そういった何も記されていない書籍の記述に関して元ネタとなったであろうソース、歴史的文献を探すことは非常に難しいですし、時間と手間というコストもかかります。今回の新書はそういった視点から見れば良い書籍です。ただし、専門書を読み慣れた当著者から言わせれば参考と引用が少々少なく感じることから、本当にこれを最初の一歩として参考図書を引っ張ってきて深く調べていくための書籍です。ある程度この作業に慣れた人ならば、自分にとって今必要な情報が記述されたものがリストを見ただけで何となく推察できるようになります。そこは数をこなした後の慣れの問題です。
 当著者が今回読んでみて気がつかされてしまったというか、知っていたことから再度思い知らされたことは、"The Compleat Angler"和名『釣魚大全』を読むべきだということです。Izaak Walton/アイザック・ウォルトンがその中で「『釣りとは一つの芸術であり、釣りをすることは又一つの紳士道である』と著している」とこの新書内で紹介しているのですが、この「芸術」というのはきっと"art"の誤訳です。なぜ誤訳かというと『釣魚大全』にJohn Dennysの引用された言葉として"John Dennys ; The Secrets of Angling,1613"の一節"It is a celebration of the art and spirit of fishing in prose and verse"を見れば、"art"の意味が「芸術」ではなくて「技術」や「学」であったことが伺えるということです。当著者の事実確認がまだなので個人的な仮説ですが、wikipediaの"The Compleat Angler"の項からそう結論付けています。
 参考図書がこの虎見書房の方で絶版となっているようですが、同じ翻訳者で角川から出版されています。誤訳があるとわかっているのならば他の訳者で探せば良いわけです。
 個人的には全くの別件で著書を読んだことのある飯田操氏から読むと思われます。しかし、前述のように細かい誤訳にイライラさせられるのであれば、英語で読んだ方が理解が早いのは間違いないのです。
 閑話休題、なぜIzaak Waltonなのかと言えば、釣りの領域に"art"という表現を用いた人物だからです。何度も紹介しているつもりですが、バス・フィッシングに最も密接に関係する人物で"art"を使用したのはRick Clunnです。Bass Pro Shopsが提供する番組に"Art of Angling"というコーナーを持っていたことを当ブログでも紹介したことが何度かあります。Rick Clunn本人が"The Compleat Angler"を読んだかどうかといった事実はどうでもいいことであって、釣りを学問する上で行き着いた言葉としての"art"の意味、その意味の重さを再確認しなければいけないという意味で当著者は「いずれそれを読まなくてはいけないが敢えて遠回りしようと決断したことからスルーしていた」現状にそろそろ終止符を打つ頃であると悟ったわけです。大事なことなので何度でも言いますが、"art"を「芸術」と訳すのは誤訳である可能性が高く危険です。

 望まれてもいないのに勝手に恒例のコーナーにでもしておきましょう。キャッチコピーは
「これは釣りを学問する出発点」です。当ブログ的な言い回しでラージマウス、著書的にはオオクチバスについてもいくつか知っておくべきことが記述されています。
 特に千葉県水産総合研究センターがPetersen methodという標識最捕獲法を用いて千葉県亀山湖のラージマウスの資源量を計算したことがあるというのは、個人的に驚きの感情と共に呆れもしました。なぜ呆れたのかというと、亀山ダムで釣りをしている連中からこんな話を何度も聞いたことがなかったためです。つまり、「自分が行っている釣り場のことぐらい知っていろよ。」という愚かしさに対しての感情です。本当にルアーとかにしか興味のないショーモナイ連中というのは、科学を蔑ろにするという良い例ではないでしょうか。その資源量ですが、3年間に標識放流した1000匹のうち60匹が再捕されたことから、推定1,500~12,000匹となります。さらにラージマウスを目的とする遊魚者は平成17年で年間17,000人という数字もあります。このデータから何が言いたいのかは一目瞭然だと思われますが、このデータの引用もなしに「亀山ダムは釣り難い」なんていうのは決して科学的ではない偏見であることを理解するべきです。仮説とする場合も、具体的な数字なしには成立しませんから、何ら偏見と変わらないことも忘れてはいけません。
 加えて、個人的には展望として見ていますが「魚は紫外線を見るのか?」という疑問に対する答えの一部があります。「魚種によって違う。」というのがその返答で、例えばトラウトは目のレンズが紫外線をカットするということがわかっているといったことが紹介されています。そして様々な魚種で調査されない理由として、「ケイ素を主原料とする普通のガラスは紫外線を透過しにくいので水槽として使えず、紫外線をよく透過する石英ガラスを使うと非常に高価な水槽になる。飼育魚の健康管理の問題もある。実験が簡単でないうえに研究者も少ないので、研究の進捗が遅い。」といった現状が報告されています。ある意味で金銭的にどうにかなれば調べられるということでもあります。そして著者からのメッセージとして「この研究に釣り人が参加してくださるなら研究の進捗が格段に速くなるであろう。」と記しています。それに当著者が返答するならば、「残念ながらそんな科学に理解のある釣り人なんてそう居ませんから無理です。」となります。もし本当の意味で、科学的な意味で知りたいと考える釣り人が居るのならば、少なくとも科学を蔑ろにする現状に対して異議を唱えるべきだという提案です。

 日本語であっても、ちゃんと学のある釣りの話というのは落ちているところには落ちているものだなと再認識しました。ただし、アングラー側からそういった人たちの話を引き出そうという姿勢や態度が全く無いという現状は、檜山 義夫『釣りの科学 (岩波新書)』1969年で指摘されていたにも関わらず変わっていないのはそういうことです。そして科学というのは時間を費やして蓄積されていくものであり、それは釣りにおける経験においても同じことであり、当著者が言う「釣りを学問する」というところにつながります。
 最後にこのコピペで締めておこうと思います。
 よくある言説として「本の勉強より生の経験の方が価値がある」的な話があるけど、その本ってやつは、どっかのすごい頭良い人が何十年か分の勉強と思索と「経験」を詰め込んで書いてるってことにみんな気づいてるのでしょうか。日本のみなさまおはようございます。

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There are main contents.KVD;Kevin VanDam,He is a one of my angling hero.I translate his article in Japanese.Also BASSMASTER Magazine and BASS Elite series pros info too.
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