MAKE UP

 Zell Rowlandと聞いてピンとくるバスアングラーなんていうのは、今どれぐらいの数がいるのでしょうか。Pop-Rの改造を広めた張本人だったわけですが、当時そのチューニングの本質を垣間見たアングラーもまたどの程度いたのかなどの設問が残ります。
 まずZell Rowlandが釣りをしている貴重な映像が残っているので、紹介しておきます。若かりし頃のPaul Eliasの解説やKevin VanDamが釣っている姿もあります。
 該当シーンとしては2番目の6:20ぐらいのところからでしょうか、当時のロッドワークが見られます。





 ゼル・ローランドはポストスポーンにチャガータイプのベイトを良く使用します。「クリアウォーターやセミクリアウォーターでの私のお気に入りのベイトがRebel Pop-Rであることは良く知られていると思う。もし水が少しでも濁っているならば、ラッキー13のような(アングラー側へ)前方へ潜ってくれ、水面下にまで潜らせられるベイトを最初の選択肢としてよく使う。」とその狙いの違いを説明しています。
 「Pop-Rは大好きなベイトですが、そのつくりは正しいとは思っていないため、一つづつ改造しています。その改造方法はボディをさらに細く削っていきます。カップ周辺はエッジを立てるようにしていきます。こうすることで、ベイトの浮力を上げることができます。水を噛み過ぎて低音の音質が出るノーマルのものより、改造したものはより軽快に、シャッドが水面を跳ねるような音を出して動かすことが簡単にできます。」「削った後はエアブラシで色を塗り直します。」
zell pop

 もう一つのチューニングとしては、フェザーフックをテールフックに使用します。羽を3枚合わせたタイプのものは、リトリーブするとすぼみますが、止めた時に再び広がることから、ベイトを前方へ行こうとする動作のブレーキにもなります。これはトップウォーターからジャークベイトまで好んで使用するチューンの一つです。フェザーはフライフィッシング用品で購入することが可能なハックル・フェザーを使用し、色の基本は白で、時々暗い色を混ぜたり、魚のエラをイメージして赤を混ぜたりして自分でエクスキャリバーフックに巻きます。」
 ゼル・ローランドなりのトップウォーターの釣りのフックセット(アワセ)のコツとしては、「ベイト(ポッパー)に向かって魚が出たとしてもロッドをすぐに煽らずに、止めるか、ベイトを動かし続けます。動かし続けることでバスから逃げる魚を演出できると考えています。」
feather hook



Reference
Zell Rowland,Jon Storm「Zell Talks Topwaters」『Bass Strategies』North American Fishing Club,2006,p.21-23



 当時の日本でのPop-Rチューニングブームを良く知る人から聞くと、日本ではボディの浮力を上げることより、カップのエッジを立てることを最も意識していたようです。しかし、中にはせっかく高浮力なバルサボディでエッジを立てたのに反射板やアルミなどの重い物をボディに背負わせて浮力を殺してしまった物も存在したようです。今だから笑えるチューニング合戦といったところでしょうか。
 え?やったことあんのかよって、それ聞きますか? そんなこと言う前に自分でもやってみれば良いのにと答えますが、均等に削るにはリューターだと最後の仕上げが難しく、全部サンドペーパーだと時間掛かり過ぎて普通に更新のペースと同調するわけがありません。つまりそういうことです。
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Zell Rowlandの好みの浮き角度にチューニングしたのがこのP61だったりもするわけです。
 そして多くの日本人バスアングラーには気にもとめてもらえていないのが、エクスキャリバーから出たゼルポップです。
 ポッパー&チャガーというのはテオドール・アドルノの「芸術音楽とポピュラー音楽」を例に出すならば、芸術音楽側に位置すると考える
【送料無料選択可!】ヒロ内藤 LURE THE SPIRIT Vol.5 」が既に存在します。フェザーフックの話はこの映像作品の中でもしっかりと紹介されています。
 しかし、アドルノのポピュラー音楽批判は、当時批判されたポピュラー音楽つまりジャズは公民権運動の一助となった側面があったとしてベンヤミンによって再評価されているっていうツッコミどころを残しておいたのに、一般にはスルーされるわけですね、わかります。そのツッコミですらジャン・ボードリヤールの「オリジナルなきコピー」を出典としてディスカッションすることは可能だとは思いますが、こんなところで建設的な議論などできるはずがないと言われたことで終焉を迎えました。
 閑話休題、当時バスマスター・プレスアングラーだったヒロ内藤さん曰く「0.3mmほどまで削ってしまってもバスぐらいの魚なら壊される心配は全くないのだけれど、岩やコンクリートなど硬いものに当てると割れてしまうからその辺りには気をつけて欲しい。」と言っていたのを思い出します。それはつまり、誰が使っても釣れるという信念から外れてしまう、割れる可能性のあるものは製品化できないということから、今でもシークレットチューンとしての価値は衰えていないと考えられます。
 少しルアーありきの話となりますが、浮き角度がカラーや製造年によって微妙に違うことがよくあるので、様々な性質をもつチューニングルアーが作成可能です。もし時間があればZell Rowlandが何を考えていたのか、当時を思い起こしながら再現してみてはいかがでしょうか。
 それにしてもこの章だけでも濃過ぎて全てを紹介しきれないadvanced angler向けの本が、このようなくおりてぃを保っている北米圏に我々日本はどうしていくべきなのかという杞憂が自分の中にあるということを述べてこのエントリーを終わりたいと思います。

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No title

はじめまして。いつも楽しく拝見させていただいております。

確かに当時のPOP-Rチューンは「カップのエッジを立てること」だけが
クローズアップされていたような気がします。

私は当時タックルボックス誌でPOP-Rチューンの記事を読みましたが、
「カップのエッジを立てる」理由はきちんと言及されていたものの、
「ボディを削る」理由については言及されていなかった、もしくは
さらっと触れる程度だったような。

そこから何故かカップを削って首を振らせやすくするチューンが流行し、
その流れでマイケルが発売されたように記憶しております。

Re: No title

はじめまして、コメントありがとうございます。
 その当時のチューニング背景の詳細の追加情報をありがとうございます。そもそもの資料が古く、所持していないので非常に助かります。
 実はゼル・ローランドもウォーク・ザ・ドッグに注目して、その動きを出せるように削っていると書いていたのですが、ツッコミどころが増えるとブレるかなと思い控えてみました。参考までに彼は1-1/2インチのもの、つまりP50の首振りアクションには注目するべきだと言っております。
 ただ、P50投げにくいのは間違いないので、専用のタックルセッティングを組む必要性はありそうです。しかし、リーディングルアーとしても優れているので持っていて損はないルアーですね。

Pop-R

はじめまして。今回もとても面白い内容でした。
Pop-R大好きです!!
 レーベルからスパーPop-RやP60Eなんかもありますけど、多くのバスマンは存在すら知らないのでは?
P61も雑誌で[これはハズレ、ラトルが入ってないから鉛シール張ってます]なんて書かれて紹介されていたりして残念。
Pop-Rチューンが流行?していた時代は知りませんが、ゼルはチャガー音を奏でながらダイブさせて高速巻きをするテクニックをしていたと思いますが、正しかったでしょうか?

流行と言えば、200X年の秋にラリーニクソンが日本でラバージグのジャーク&フォールを披露してました。ファーストフォールジグ、フラッピンジグというテクニックは流行を生み、トレーラーとして使用していたzoomのスパーチャンクは品切れ続出も、今はどこにも売っていない...

Re: Pop-R

コメントありがとうございます。
 あのルアーは浮き角度が浅いから、もう一つのこれとはアクションが変わるといった話はルアーコレクター的な人の間ではよく交わされていますが、それに対して普通に使う人たちの間で議論の対象、話題になることは悲しいですが、ほとんどありませんね。
 また割と多くのアングラーが、ルアーに対してアタリ、ハズレという評価をしたがりますね。単純に別物だと捉えて使い分けてあげれば良いという考察はなかなか浸透しないのも悲しい事実です。ただ、現行品Pop-Rでもカラーリングや入っているラトル兼ウェイトによって浮き角度が微妙に違ってくるのもまた事実です。自分が所持している中では、P60(ノーマル)のみで比較した場合、ファイアータイガーカラーが最も浅い浮き角度になるということを確認しています。

 この本の内容からいくとチャガーとして扱われているので、そのチャガー音の速引きという把握で間違いないと自分も思います。ただルアーの持つデザイン的にどうしてもポッパー音的な要素が強くなるというのもまた事実だと思います。そこで、水の色、相対的濁度といったこともゼル・ローランドはもちろん考えていたようなので、チャガーでもPop-Rとラッキー13は音の質が違う、使い分けるベイトとして考えているといったことを一応エントリー内にも紹介していたつもりでした。
 混乱しそうですが、ポップ音寄りのチャガー音を出せるPop-R、チャガー音らしいチャガー音を出せるラッキー13でチャガー音だけでも音を使い分けているということですね。アクション的に潜らせることを念頭に置いているので、水平に浮いてくれるポッパーを使用したファスト・ステディー・ポッパーとは使用方法が似ていますが、狙いが違うと言えます。

 チャンクも売れないルアーでお店的に厳しいようです。しかし、テールだけで言えばクローワームに同じようなデザインを導入しているものが少しは販売されているはずなのでこれが代替品になるでしょうか。
 言われてみれば確かに釣りのカテゴリーはディープのスイミング・ジグだったわけで、マーク・デイビスのスイミング・ジグの記事「http://bassanglerspirit.blog127.fc2.com/blog-entry-199.html」で紹介したように、彼はまだそれほど普及していないと言っていることから、再び注目しても面白いかもしれませんね。指摘されるまですっかり忘れていましたが、ラリー・ニクソンもちゃんと新しいテクニックを紹介してくれていたのだと思うと感謝しなければいけませんね。

No title

あとご存知のことかもしれませんが、ゼル・ローランドは
2代目POP-Rはカップのエッジが鋭くないので理想的な
ポップ音が出ないため、カップを削って鋭くした。
これがPOP-Rチューンの原点だったはずです。

しかし、チューンが紹介された当時はカップのエッジが
きちんと立っていた3代目POP-Rが流通していました。
ゼル・ローランド氏によれば3代目はカップを削る必要はない、
ということもタックルボックス誌で紹介されていたように
記憶しています。


ちなみにゼル・ローランドが削ったPOP-Rの
モノクロ写真も見たことがありますが、鉛筆を
ナイフで削ったような雑な仕上がりでした(苦笑)

ファーストフォールジグ

返信ありがとうございます。
ルアーは素材だけではなく、カラー(塗装)による浮き角度&質量の違いから生まれるアクションの違い等、面白さ満載ですね。
POP-Rやラッキー13、チャガースプークのチャガー音を使い分け出来るくらいのアングラーになる為に、更なる練習が必要だと改めて思いました。
ラリー・ニクソンの釣り内容は、[ルアーマガジン・ザ・ムービー2]にて見ることが出来ます。
Amazonに在庫が1つあるようです。

POP-Rは・・・

オールスターTWSにABU4600CゼルローランドSPで投げるのがデフォルト!!キリッ w

Re: No title

yotarizmさん
コメントありがとうございます。
> 2代目POP-Rはカップのエッジが鋭くないので
 既にエッジが鋭くないPop-Rを日本で探すことは困難なので(ry
案外簡単でもあり、そもそもモノが出てこないという難しさもありました。もちろん新品ではなくフックは錆びて、カラーはボロボロ、しかしボディを削ってしてしまうんだからという理由で価値があるわけです。
 しかし、自分で言うのもなんですが、ゼルポップ使ってればいいかなとは思いますけどね。
 一応上記の削ったPop-Rも本人が行ったものですから、削る技術も上がっていたんですね(笑)

Re: ファーストフォールジグ

juneさん
コメントありがとうございます。
 現行Pop-Rは、クリアカラーを見てもらうとわかりますが、ラトルが2個になっています。ラトル音が軽くなっているので、振ってみればすぐ気がつかれると思います。そのラトルが2つになったことで、結果的に微妙に違うと言えば違うと言えると思います。ラトルが1個の方がお気に入りだったりすると、ちょっと探すのが大変になります。

Re: POP-Rは・・・

FVDさん
コメントありがとうございます。
American Rodsmithでも許してあげてください(笑)
Abu 4600C持ってる人の方が、アメリカンロッド持ってる人より珍しいんじゃないかという偏(ry
連続でアクションさせるならロープロファイルが肘の負担を含め体には優しいんですけどね。それでもタックルを同じにしたい気持ちは非常によくわかります。

ゼル・ローランドのこの話は随分と懐かしいですね
おそらくこの記事が書かれたタックルボックス誌、自宅のどこかにありますわ(笑)
たしか塗装レベルが小学生の工作並みとかって揶揄されていたような記憶があるのですが、それでボコボコに釣れたというのですから
やはりルアーは見た目ではなく、アクションが一番重要なんだなと考えさせられた記憶があります

Re: No title

 塗装レベルなんていうのも今だから個人がスプレーガンを気軽に持って塗装できるようになったわけで、その当時だとまだまだ高価なもので使いこなせていた人は少数だったのではないでしょうか。今でこそ北米でもリペイント屋さんというのが存在しますから、綺麗な仕上げが欲しいのであれば、そういったところに頼むんでしょうね。
 しかし、ルアーフィッシングで最も大事なのはゾーンとスピードである(アクションの要素はロッドワーク中心となるポッパーでは無くなります。)と言われているように、カラーという要素は最も優先順位の低いものだというのは、浸透しているようで浸透していない大事なことだと思います。ヒロ内藤さんもウルトラクリアウォーターでファイアー・タイガーカラーを使うぐらいその点はブレない部分だと思います。

 ついでにyotarizmさんが言われているように、現行のPpop-Rは削る必要なんて無い優秀な仕上がりになっています。浮力はご存知の通りカラーリングやボディの素材によって・・・
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There are main contents.KVD;Kevin VanDam,He is a one of my angling hero.I translate his article in Japanese.Also BASSMASTER Magazine and BASS Elite series pros info too.
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