A「フリッピングといえばバジル・ベーコン」B「なにそれオイシイ?」その2

 Harold Sharpが亡くなられたようです。
http://fishingtackleretailer.com/harold-sharp-former-b-a-s-s-tournament-director-dead-at-88/

以下のリストに挙げられる人材が世を去るというのは寂しくなると同時に、何か貴重な経験や教訓を失ったように思え、何かもっと彼らから学ぶべきことがあったのではないかという一種の後悔のようなものを感じます。
http://www.bassfishinghof.com/alphabetical-listing-of-inductees/


 さて、そんな中に名を連ねている一人、Basil Baconについて触れてみましょう。
http://www.bassfishinghof.com/alphabetical-listing-of-inductees/basil-bacon/

 彼は本物の機器設計の先駆者でありながら、実績のあるトーナメント・アングラーです。
Basil was the first person to design a “flippin’” button on a baitcasting reel.
 Basilはベイトキャスティング・リールに「フリッピン」ボタンを設計した最初の人です。今日では、「フリッピン」ボタンは世界的に淡水のベイトキャスティング・リールで一般的になっており、それは70年代初期から中期にかけて成熟された「フリッピン」という新しいテクニックをアングラーが学ぶ手助けになりました。

 「フリッピン」ボタンに加えて、Baconは今日のバス・ボートに必ず組み込まれている「フリッピン」デッキを開発した先駆者でもあります。さらにBaconは最新のバス・ボートのパフォーマンスを最高点に到達させるために使用する4枚ペラを考案しました。

 Baconの専門知識はデザイン、釣り産業やマリン用品にとどまりません。Baconはアメリカの釣りの歴史の中で、優れたルアー・デザイナーの一人でもあります。

 長年に渡り、Basilはルアーの傑作として、Bacon RindとBacon Stripといったソフト・プラスティック・ルアーにWakin' Bacon spinnerbaitをデザインしました。

 1971年からBaconはいくつかのプロ・トーナメントに参戦し、BASS Master Classicsに9回参戦、B.A.S.S.で2度のタイトル、1973年と1974年にProject Sports Bass Tornament TrailでAngler-of-the-Yearを獲得、Fisherman's Bass Tournamentsで2度、Bass Casters Association tournamentで3度のタイトルを、Angler Choice Pro Division Classicでのタイトルに加え、最近のものでは2002年にNashvilleから離れたOld Hickory LakeでのWalMart FLW Tour Eventでタイトルを獲得しています。

 Basil Baconの偉大なトーナメント・キャリアを見通してみると、彼はB.A.S.S.のトーナメントでTop 10に40回、参戦してきた様々なトーナメントを合わせれば125回のTop 10を記録しています。

Basil Bacon…a true living legend in the world of bass fishing!

2007年殿堂入り。

 なぜ誰も気にしなくなったのかと言えるぐらいの功績を残した人物です。ボートのデッキを高く設定することというのは、バス・ボートの世界では今日誰もが最初に意識するか、意識しなくとも最初からそう設計されているぐらい一般的なものです。
 フリッピン・スイッチという革新もBasil Baconと共に日本では見ることがない一方で、北米ではどこかのメーカーが忘れられる前に必ず製造してくるぐらい有用性を一般的なものとし、地位を確立しています。


 一体何が言いたいのかというと、ここまで説明しないとBasil Baconのプレゼンテーションに関する記事すら紹介できないという現状への批判です。フリッピングで出てくる名前がTommy BiffleとかDenny Brauerといったところで、「それピッチングの人ですよね。」という反論すら理解されないこの歴史を無視した現状への確固たる非難です。
 日本人の口だけの「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ。」という態度は一体どうにかなりませんかなどと問いかけてみることにします。仮に大学を卒業していて歴史に学ぶ方法を知らないというのであれば、本当にカワイソウであると判断して同情してしまいます。
 そんなカワイソウな人向けにわざわざ丁寧に解説している当著者がなぜこのようにアクセス制限をかけて、著作権侵害と剽窃による利益の享受の先を操作されることを防がなければいけないのでしょうか。

A「フリッピングといえばバジル・ベーコン」B「なにそれオイシイ?」

 さて表題の件ですが、アングラーならばバジル・ベーコンが食べ物でないことは薄々気がつくかと思われます。しかし、それが一体何であるかという問いに正しく答えられる日本人など存在しないという偏見があります。
http://www.majorleaguefishing.com/news_details.aspx?id=17317
 答えはリンク先にあります。これを知っている人は相当昔からB.A.S.S.を見てきた人です。そのような人が今もB.A.S.S.に興味を持っているかと問われれば甚だ疑問であり、そんな人にChris Laneなんて言っても誰のことか通じないかもしれません。
 さて、希少になったわけでもない余裕すらある現存する文献を少し調べればわかることですが、1960年代と1970年代というのは確かに次のような人達の時代でした。Tom Mann, Billy Westmoreland and Roger Moore、全員スピニング・タックルとライト・ラインを扱うことを得意としていた人達です。特にTom Mannは彼の著書で紹介するようにスピニング・タックルしか使いませんでした。そんな彼らに転機が訪れたのはリミットが5尾と少なくなったルールが定められたときです。数を釣ることの利点が減ってしまいウェイトのある魚を少数釣れば勝てるという母体ができあがりました。
 そこで勢いをつけたのがフリッピングです。Dave Gliebe, Gary Klein and Basil Baconそして当方がそこに間違いなく加えるのはGary Kleinの友人であるDee Thomasといったヘヴィー・フリッピング・スティックに25-pound-testモノフィラメントを巻いたダイレクト・ドライブ・キャスティングリールを取り付けたタックルを扱うことに長けた人達がバス・フィッシングを変えたのです。
 すなわち大局観的な流れは、餌で釣っていた延長の概念でフィッシング・ラインを細くするといった発想がイデオロギーだったところにラインを太くするといった全く逆の方法を一般化させバス・フィッシングというイデオロギーに新しい息吹を吹き込んだわけです。1980〜90年代はGolden Age,まさに全盛期としてトーナメントでは凌ぎを削り、前述のイデオロギーを基盤としてあらゆる手法を編み出し、それ用いて戦ったプロ達の姿があったわけです。

 一体何が言いたいのかというと我々が今行っているバス・フィッシングの基盤をつくり、その楽しさを生み出してくれた彼らに敬意のひとつもない人ばかりというのは、歴史を学ぶという観点で、産業的に健康と言えるのでしょうか。

追伸
 フリッピングと言われてDenny BrauerとTommy Biffleを挙げるようでは、その著者が指摘するイデオロギーのかけらも理解していないも同然です。Denny BrauerとTommy Biffleはむしろロングディスタンス・フリッピングことピッチングで名を馳せた二人です。なぜそのようなことが言えるのかといえば、彼らの戦績を見れば、彼らがそのGolden Ageに好成績を残していたことがすぐにわかるはずです。従って彼らはあくまで基盤の概念から生み出した応用だということです。つまり彼らの歴史を見てわかることというのはそれほど多くないのです。
 この件から得るべき教訓は日本人は総じて勉強不足だということです。

例えばその土地には、川が流れ肥沃な土地が広がっているとすれば、その土地は人に対して住みよい土地であることをアフォードしている。アフォーダンスという概念はその環境がもっているアプリオリな性質の中から知覚者が恣意的に発見し、獲得する構図を表すが、ならば今の世界は人にいかなるアフォードをしているのだろうか。

 随分前に当ブログではない場所で当著者がTule Dippingの話題に乗っかったというか、日本人はほとんど誰も知らない歴史について軽く言及したことがあります。なぜ知っていたのかと言われれば、Flippingについて調べようとしたことがあるためです。それもDee Thomasから始まるOriginalについて調べようとしたときに出てきた語彙がTule Dippingでした。
 そしてWEB上でFlippingについて探す一環として、Gary Kleinがデザインしたjigを探していたときに偶然見つけたのがBass Fishing ArchivesというWEBサイトでした。もちろんGary KleinもFlippingのオリジナルに近い人物です。Dee Thomasが現役だった当時にバックシートで唯一釣り勝ったのがGary Kleinという歴史があるためです。

http://bassfishingarchives.com/features/new-western-technique-controlled-structure-fishing-sure-to-sweep-the-country-1#more-185
 さて該当の記事のリンク先にあるのは歴史的に非常に価値のある資料です。当著者もそれらしき書籍を買い漁って釣りに関する書籍・洋書のbibliomaniaを自称しても良いのではないかという量になり始めています。しかし、当時の口述、オーラルヒストリーとなるとやはり雑誌という媒体に残ってしまいます。何が言いたいのかというと雑誌ほど後から収集が困難になる資料はないのです。ハードカバーは古書店に残る可能性が極めて高く、次いでペーパーバックも残る可能性の高いものです。ここで初版がどうこう言うのであればあなたは間違いなくbibliomaniaの一員です。閑話休題、雑誌はどうしても捨てられてしまったりする可能性が高く、学術研究の分野におけるものでない限り、その価値に気がついて残されていることが少ないのです。そんな中でこのサイトを運営しているTerry氏がこういった資料をその詳細から紹介してくれています。個人的に連絡を取り合ったこともありますが、非常に面白いというか興味深い、賢明な人です。日本の編集者もこうだったらどれだけ世界が変わったことかとため息が出るぐらいの聡明さを持ち合わせています。

 さて、そのFlippingについてですが、Terry氏曰くFlippingについて、このページが最初に記されたものではないだろうかということです。そして、名称もFlippin'ではなく“Controlled Structure Fishing”と呼んでいるところにも注目したいところです。雑誌の1ページの中身を読めば理解できることですが、ロング・キャストではルアーを有効に動かせないどころかfishless water,文中ではdead water/魚の居ない水域を釣るという時間の無駄を省いているという点が最も重要なトピックです。言い変えれば、finesse fishingによるshootingやjiggingといったvertical/鉛直方向の釣りと何も変わらないということです。このあたりを体系化できない人が最近の大型スプーンやアイスジグなどを新しいメソッドとか言ってしまうという偏見があります。ついでにこのときDee ThomasとFrank Houckが狙っていた水深は岸際から10ftまでであり、15ftを超えるような水深に居ることは少ないと考えていたという点がシャロー・ウォーターでのFlippingを確立させた要素となっています。
 どうでも良いことかもしれませんが、この時に使用されていたベイトはポリエチレンのウィード・ガードが付いた黒のバックテイル・ジグだったようです。ラバーではなく鹿の尻尾・バックテイルを使っているところがモノがまだ溢れていなかった良き時代を感じさせます。

 そして、あまりに深く言及すると某FVDさんからフォローが来そうな話題ですが、Flippin' Stikのオリジナルについての記録もあります。 Lew's社Hawgerという12ftのロッドを使いティップにラインを結ぶ、またはティップからラインをガイドに通してバットに結ぶ要は延べ竿と竿のレングス分のラインを使用したのがtule dipping,文中の表記ではToolie Dippin'でした。しかし、この文中のWBFAのトーナメントでは7 1/2ftというロッド・レングスに制限があったのです。そこで彼らは計測して持っていたロッドの4 1/2ft分を切って制約内の7 1/2ftにし、Fuji Speed guideを巻いたというインタビューが残っています。さらにそこから無くなったレングス分のラインを手でリールから引き出してフライ・フィッシングのように釣る、つまり現状のフリッピングという動作が完成したことが読み取れます。さらに16ftのボートに乗っていたことから4 1/2ft切ったロッドの方が運搬も快適だったという逸話もあります。
 さらに使用していたリールはAmbassadeur 5000CにラインはTrilene 25lb(標準直径は8号より太い.48mmがthe U.S.規格です。)と今と全く変わらない道具立てです。変わったと言えばリールがergonimically/人間工学的にlow profileモデルになったぐらいです。ラインの例示としてGary KleinはTrilene 100% Fluorocarbonの25lb,当時から変わらない直径のラインを使用しています。

 Terry氏曰くあと3以上のDeeとFlippin'に関する話題があるとコメントに残してくれています。さらに、次回はthe original Fenwick Flippin' Stikについての記事であることを示唆しています。この話題で歴史を織り交ぜながら末永く盛り上がれるのはきっと自分と某あの方ぐらいしか居ませんが、年末ぐらいまで十分に楽しめそうです。
 ついでに、個人的なフリッピング・ロッドの所有率は5/42と12%弱ですが、ボート・フィッシングに持ち込む頻度は100%と、フリッピングがバス・フィッシングの基本だと当著者は考えています。反対に当時のフリッピングを見た開高健氏や西山徹氏はそれは自分たちの釣りではなく、もはや漁師の領域の釣りだと表現したのは興味深い点です。狙ったスポットから魚をどんどん抜き上げるそのスタイルがまさに漁師のそれを彷彿させたのだと考えられます。いずれにしても、Flippin'がbass fishingを変えた、言い変えれば基礎を築いた一端だったのはまぎれもない事実です。

 今回の件から当著者が得るべきことは、Terryさんの飽くなき探究心に敬意を表し、自分もそれに追従するまたは諫言できるぐらいを目指すべきであるということです。読者が得るべきことは、わからないことをわからないままにするのではなく、それを解決できるようになるまで情報収集を欠かすことなく歴史を再認識し、そして集めた情報を体系化するべきであるということです。
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Author:arb1200
There are main contents.KVD;Kevin VanDam,He is a one of my angling hero.I translate his article in Japanese.Also BASSMASTER Magazine and BASS Elite series pros info too.
Curation which is the definition of my blog.
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